【ご注意】
本記事は、一般的な医療情報を分かりやすくお伝えすることを目的としており、個別の診断や治療の代わりとなるものではありません。
記事内で紹介している医療機関・サービス等は、あくまで情報提供の一環であり、特定の医療機関や治療法を推奨・保証する意図はありません。
また、監修者は中立的な立場で記事内容の医学的整合性を確認していますが、掲載されている施設やサービスの選定・運営に関与しておらず、それに伴う責任を負うものではありません。
体調に不安がある場合や、症状に応じた判断が必要な場合は、必ず医療機関にご相談ください。
監修医師

日本産科婦人科専門医
株式会社 産燈堂 代表取締役
中学生や高校生の多くが、生理に関する悩みを抱えていますが、未成年のうちに婦人科を受診することに抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。特に、初めての生理不順や生理痛を経験すると、何が起こっているのか不安に感じることもあるでしょう。しかし、未成年でも安心して婦人科を受診でき、適切なケアを受けることが可能です。
この記事では、未成年でも婦人科を受診できるという点を中心に、婦人科での内診や問診の流れ、また生理に関するよくある悩みについて詳しく解説します。この記事を読むことで、婦人科受診の不安が解消され、適切な治療を受けるきっかけになれば幸いです。
中高生女子の約8割が抱える「生理に伴う困難」とは?

多くの中学生や高校生の女子が、生理に関する悩みを抱えています。実際、約8割の女子が生理中に何らかの困難を経験しています。(内閣府男女共同参画局「男女の健康意識に関する調査」(平成30年)より)
特に、生理痛や生理不順は一般的な悩みです。こうした症状は、日常生活に影響を与えることもあり、学校や部活動に参加できない場合もあります。
生理に関する困難を放置することで、将来的な健康リスクにもつながる可能性があります。そこで、婦人科の受診は早めに行うことが重要です。中高生でも婦人科に相談できる環境が整っているため、早期の対応で症状を軽減し、将来的なリスクを回避することができます。
生理痛が起こるメカニズム

生理痛は、子宮が生理の血を押し出そうとする時に収縮することで起こります。収縮が強すぎると、痛みを感じやすくなりますがこの痛みが、一般的な生理痛の原因です。痛みの強さや感じ方は個人差があり、軽い不快感から強い痛みまでさまざまです。
さらに、生理痛がひどくなる原因として、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患が関与している場合もあります。これらの病気が存在すると、子宮やその周囲の組織に異常な変化が生じ、生理痛が悪化することがあります。このような場合、単なる生理痛とは異なり、適切な診断と治療が必要となります。放置せず、早めに婦人科を受診することで、症状の改善や適切な治療法を見つけることができるため、早期の受診が強く推奨されます。
進行した子宮内膜症の影響

子宮内膜症は初期段階では軽度の痛みや不快感が主な症状ですが、進行するとその影響は大きくなります。中学生ではあまりありませんが、万が一子宮内膜症が進行すると、日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴い、さらには将来的なリスクを高める要因となります。以下では、進行した場合に生じる可能性のある主な影響について説明します。
痛みの悪化
子宮内膜症が進行すると、痛みが激しくなる傾向があります。通常の生理痛とは異なり、痛みが持続的であり、鎮痛薬を服用しても効果が見られないことがあります。痛みの程度が生活に支障をきたす場合は、早急に婦人科を受診しましょう。
卵巣にチョコレート嚢胞ができる
子宮内膜症の一部は卵巣にも影響を与え、チョコレート嚢胞と呼ばれる嚢胞が形成されることがあります。この状態は、卵巣機能を低下させる原因となり、将来的な不妊リスクを高めます。
将来的に不妊のリスクが高まる
子宮内膜症が進行すると、卵巣や卵管にも影響を及ぼし、不妊のリスクが高まる可能性があります。こうしたリスクを避けるためにも、鎮痛薬で我慢できないほどの生理痛がある場合などは婦人科受診がおすすめです。婦人科では適切な治療法を提案してもらえます。
婦人科受診の目安

生理に関するトラブルが続く場合は、早めに婦人科を受診することが大切です。特に、生理不順や生理痛が日常生活に支障をきたす場合、放置せずに医師に相談することで、症状を軽減し、将来的な健康リスクを回避することができます。
婦人科受診に対して不安を感じる方もいるかもしれませんが、未成年であっても安心して受診できる環境が整っています。医師は丁寧に対応してくれ、内診や問診も必要に応じて行われるため、無理に進められることはありません。早期に適切なケアを受けることで、将来の健康を守ることができるので、迷わず早期対応を心がけましょう。
生理痛に対する代表的な治療方法

生理痛は、日常生活に支障をきたすことがあり、その程度や原因は人それぞれ異なりますが、適切な治療法を見つけることで症状を和らげることが可能です。生理痛の治療法にはさまざまな選択肢があり、個々の体質や痛みの程度に応じた対策を取ることが重要です。以下では、代表的な治療法をいくつか紹介します。
鎮痛薬:痛みを抑えるファーストステップ
鎮痛薬は、生理痛の症状を緩和するための最初の治療手段として広く利用されています。一般的には、市販の鎮痛薬を使用することで痛みが軽減されることが多く、特に軽度から中等度の痛みに対して有効です。鎮痛薬には、イブプロフェンやアセトアミノフェンなどがあり、これらは痛みの原因となる炎症を抑える効果があります。しかし、痛みが特に強い場合や、鎮痛薬を使用しても効果が見られない場合は、自己判断で使用を続けるのではなく、医師に相談して適切な薬を処方してもらうことが必要です。
自然治療の選択肢:漢方薬の活用法
漢方薬も、生理痛を緩和するための有効な選択肢として注目されています。漢方は、個々の体質や症状に応じて処方が変わるため、オーダーメイドの治療法といえます。体のバランスを整えることで、根本的に症状を改善することを目指すため、薬の副作用を避けたい方や、自然な方法で痛みを抑えたい方に適しています。漢方薬の選定は専門的な知識が必要となるため、漢方に詳しい医師や専門医と相談しながら治療を進めることが推奨されます。
鎮痙薬:子宮収縮を抑えて痛みを軽減
鎮痙薬は、子宮の過剰な収縮を抑えることで痛みを軽減する薬です。子宮が強く収縮することで生じる痛みには、特に効果を発揮します。鎮痙薬は、子宮筋の緊張を和らげることで痛みを抑えるため、通常の鎮痛薬では効果が薄いと感じる方にも適しています。使用する際は、必ず医師の指導のもとで正しい方法で服用することが重要です。誤った使用は効果が期待できないばかりか、副作用を引き起こす可能性もあります。
低用量ピルの役割
低用量ピルは、ホルモンバランスを調整することで生理痛の予防や月経不順の調整に効果があります。ピルを服用することで、月経周期が安定し、痛みの強さや出血量を抑えることができるため、重い生理痛で悩んでいる方にとっては重要な選択肢となります。また、低用量ピルは未成年でも医師の判断で使用できる場合があり、若年層の生理痛対策にも有効です。服用を開始する前には、必ず医師に相談して、自分の体に合った方法や適切な種類を選ぶようにしましょう。
中学生でも使える?低用量ピルの適応と注意点

低用量ピルは、月経不順や生理痛の治療、避妊目的でも使用される薬です。未成年でも、医師の判断で適切に処方されることがあり、ホルモンバランスを整えることで月経周期を安定させ、生理痛の軽減が期待できます。特に思春期はホルモンの変動が大きく、月経トラブルが起こりやすいため、低用量ピルは有効な治療法の一つです。ただし、服用に伴う副作用として、頭痛や吐き気が見られることがあり、また、血栓症のリスクもわずかに高まるため、定期的な健康チェックが必要です。未成年でも正しく使用することで、より快適な生活を送ることができますが、医師の指導のもとで慎重に判断することが重要です。
思春期の生理トラブル:よくある月経に関する悩み

思春期の女性は、さまざまな生理トラブルに直面します。以下は、代表的なトラブルとその対策です。
月経困難症の原因と対策
月経困難症とは、通常の生理痛を超えた強い痛みを伴う状態です。原因は多岐にわたり、ホルモンバランスの乱れや子宮内膜症が関与していることが多いです。治療法としては、鎮痛薬や低用量ピルが効果的です。
PMS(月経前症候群)を和らげる方法
PMSとは、生理前に起こる身体的・精神的な不調を指します。症状は多岐にわたり、頭痛やイライラ、むくみなどが含まれます。食事や生活習慣を見直すことで、症状を緩和できる場合もあります。重度の場合は、漢方薬や経口避妊薬などを使用できますので婦人科受診してください。
生理不順(月経不順)に対する対応策
生理不順は、月経周期が乱れる状態を指します。ストレスや生活習慣の変化が原因で起こることが多いですが、ホルモンバランスの乱れや基礎疾患が原因となることもあります。医師の診察を受け、適切な治療法を見つけましょう。
無月経が続く場合のリスク
無月経が続く場合、骨粗鬆症や不妊のリスクが高まる可能性があります。特に、3か月以上生理が来ない場合は、必ず婦人科を受診し、原因を突き止めることが重要です。
まとめ:中学生でも婦人科で安心のケアを

中学生や高校生であっても、生理に関するトラブルは決して珍しいことではありません。生理不順や生理痛は、成長過程で多くの女性が経験するものであり、特に思春期にはホルモンバランスが不安定になるため、さまざまな症状が現れることがあります。そのため、これらの症状が続く場合は、放置せずに婦人科を受診することが大切です。
婦人科を受診することで、ただ生理痛や生理不順の原因を特定するだけでなく、将来的なリスクを軽減するための予防的なケアを受けることができます。初めての受診に対する不安はあるかもしれませんが、婦人科医は未成年の患者にも丁寧に対応し、質問や不安をしっかり解消してくれるので、安心して相談できます。内診や問診に関しても、無理に進められることはなく、症状に合わせた対応が行われるため、怖がる必要はありません。
未成年でも婦人科で適切なケアを受けることができるということを覚えておき、自分の健康を守るための行動を積極的に取りましょう。
【ご注意】
本記事は、一般的な医療情報を分かりやすくお伝えすることを目的としており、個別の診断や治療の代わりとなるものではありません。
記事内で紹介している医療機関・サービス等は、あくまで情報提供の一環であり、特定の医療機関や治療法を推奨・保証する意図はありません。
また、監修者は中立的な立場で記事内容の医学的整合性を確認していますが、掲載されている施設やサービスの選定・運営に関与しておらず、それに伴う責任を負うものではありません。
体調に不安がある場合や、症状に応じた判断が必要な場合は、必ず医療機関にご相談ください。
監修医師

日本産科婦人科専門医
株式会社 産燈堂 代表取締役
産婦人科医として、約15年間働き、1万人以上の患者さんと関わる。 その中で、病院以外でも「女性がより生きやすい社会」のために自分の力を活かしたいと考える。自身も会社を立ち上げ、複数のフェムテックスタートアップ企業のアドバイザーを勤める。 東京都主催スタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2023」セミファイナリスト。
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